ひと休み

Breaktime

 

 安倍長期政権が突然その幕を閉じた。内政、外交、経済と多角的にその評価はされるべき所だが、一番の罪はその在任期間の長さであろう。「絶対的権力は絶対的に腐敗する」(英、アクトン卿)はまさに権力ゲームの鉄則である。政治家に及ばず官僚エリートたちのモラルハザードは「文春砲」に任せつつ、緊張感のある国政の運営を次期宰相(Prime Minister)には期待したい。

 

 自民党の後継総裁選びは「数の論理」からするともう決しているらしい。確かにwith コロナの真っ只中にドラスティックな方向転換は望むべくもないが、人事だけでなく、政策全般においてどう微調整していくのか、楽しみにしてる。かつての「党高政低」(自民党>政府)といった政治状況は、派閥政治と族議員が政策決定過程に大きな影響力をもったわけだが、選挙制度の変化もあり、派閥自体のパワーが減少するなかで、党執行部(特に幹事長)と政府官邸のパワーが相対的に強まった。現在では官邸(安倍政権では経産省警察庁)、官僚エリート(財務省中心)、党執行部のトライアングルが政権の権力基盤なのだ。(「官官党」で「政官財」のトライアングルはちょっと古いかも知れない)

 

 やっぱり選挙はドキドキする。学級委員だって、生徒会だってワクワクするんだから、一国の宰相を選ぶ戦いは、その勝敗が明らかでも、毎日情報番組を見てしまう(笑) 政治学にはアナウンスメント効果として、勝ち馬に乗る「バンドワゴン効果」と、判官贔屓(ホウガンビイキ)の「アンダードッグ効果」の2つが良く知られているが、今回は完全に前者であろう。多数派の言うことが正しいんだという「バンドワゴンの誤謬」が成り立ったわけである。(成立要因には、衆人に訴える論証の他、権威に訴える論証、伝統に訴える論証、新しさに訴える論証があるらしい) 英国政治でも保守党、労働党自由党の各支持者が選挙区の状況を考慮して、第1支持政党でない第2支持政党に投票する事は良くある。(←「戦略的投票」という) しかし当事者たちの興味はもはや人事をめぐる主導権争いだ。魑魅魍魎が跋扈する永田町を次期宰相がどう地均しするのか、しないのかは、確かにその後の政権運営の試金石にはなるだろう…

 

 安倍政権の罪は長すぎる在任期間だと言ったが、それは利害関係者のモラルハザードだけでなく、その期間中に自らに代えうるリーダーの育成に力を注いで来なかったこともある。派閥機能の低下とも思えるが、政党としてリーダーの育成は必須である。寝首をかかれないか心配なのかも知れないが、やはり今回のような所謂「禅譲」では、政党自体の生命力の無さを感じてしまう。

 

 「アンダードッグ効果」なら最近まで国民から人気があるとされた石破にも…と思っても見たが、候補者が出揃った段階で国民の支持は菅へと雪崩をうった。明らかな「バンドワゴン効果」である。まぁ、仕方ないか、どう見ても石破の顔がイケメンの九郎判官義経には見えないのだから。頼朝のために命をかけて働いた義経と、防衛相断って内閣の批判ばかりしてきた石破とでは話が違うわけだ。ほぼ都市伝説の義経=チンギス・ハン説からしても、彼がこの国のトップになることはなさそうだ。(笑)

 

「民衆は無知であるが真実を見抜く力はある」(マキャベリ君主論』) まずはこの言葉を信じてみよう🎵 

 


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